日本画家、日展評議員として今もなお一線でご活躍されている三谷青子さんの個展が開催されております。 やさしさと親しみを感じる先生の作品と同様、ご本人も飾らないお人柄で、お忙しいなか、インタビューにお答えくださいました。 普段は聞くことの出来ない貴重なお話を皆様にお届けします。
プロフィール 京都府生まれ。1949年京都市美術専門学校卒業。1952年同校研究科卒業。1948年日展初入選、以後日展出展。特選、菊花賞、会員賞、内閣総理大臣賞受賞。1971〜2006女子美術大学勤務。2005年旭日小綬賞。2007年日展評議員 2007年5月20日より個展
「見る」ことで絵が生まれる 私はイメージで絵は描けないんですよ。イメージで絵を描ける人が本当羨ましいですね。私はどんな物でも人でも実際自分の目で見て、描きます。じっと観察していると必ず何か発見があります。 小学生の頃、家で飼っている鶏を描いた絵ではじめて賞をいただきました。対象物をよく観察して描くというスタイルが、幼い頃から自分に合っているということですね。 空想には限度がある 「事実は小説より奇なり」という諺があるように、実際の世界や物は本当におもしろいですね。どれだけ自分の空想で色々な世界を膨らませてもやはり限度があると思います。 前にポニーを描いたことがありましてね、その時に見たポニーの柄に本当に驚きました。ひし形のような柄が背中にあったり、ズボンを履いたような模様だったり・・・。 とても自分では思いつかないようなことを目の当たりにすると、空想には限度があると感じますね。 日本画家である母の存在 日本画家である母は言葉では言い表せないほど、大きな存在でした。 母は本当に一流の人間だったと思います。知的で体力もあり直感力が鋭く、そして大変な努力家でした。画家としても人間としても、私は母にかなうところはありませんでした。 そんな母から受けた影響は大きいと思いますが、何と聞かれても答えることは難しいですね。ただ、目に見えない母の大きなパワーが常に私の周りにあったことは確かですね。 画室を閉めた2年間 家族の介護に追われていた時代がありました。絵を描くことをやめることはありませんでしたが、2年間画室を閉めて売り絵はお断りしましたね。父の介護をしながら、陽があまりあたらない場所で描いてましたから、自分で何色を塗っているのかわかりませんでした。やはりこの頃に描いていた絵は、どこか自分の苦労が表れていたのかもしれません。ようやく介護を終えて描いた絵を見た周囲の皆は、「絵が上手になったね」と言いました。ですが母は「本来の絵に戻っただけ」と言いました。やはりその時その時の心情が絵には出るものですね。 退職後、はじめた陶芸 陶芸をはじめてもう10年以上が経ちますが、本当に飽きることがなく楽しんで作っております。陶芸は「偶然」がおもしろいですね。焼き上がると自分が想像していたものとは違う色や形に仕上がったりしますしね。絵はある程度自分の思い通りに描けますが、陶芸はそうはいきません。またそこが私にとっての陶芸の魅力ですね。
新作は人物画の他、三谷青子の身の回りで遭遇した美しい光景や事物を描写しています。作品一覧 鳥の家 \136,500- 相模原にある女子美術大学に勤務していた頃、隣に公園があり、そこに鳥舎がありました。そこはたくさんの鳥が放し飼いにされていて、人も自由に出入り出来る所だったので、そこで鳥の家を何点か描きました。
春の灯台 \367,500- ここは三浦半島の剣崎灯台という所です。もうかなり昔に描いたものなので、現在は違った風景になっているかもしれません。淋しい風景になってしまったので、大好きなポピーの花を手前に描きました。
花の髪飾り \52,500- 月2回通っているデッサン教室で描いたものです。 ここは素敵なモデルさんばかり来てくれるので、描くのが楽しいんですよ。
三谷青子作品集 見るものの心を素直にとらえ絵の中に誘う、三谷青子の作品を100頁以上に渡って紹介。
現代日本の絵画_vol.2/年鑑 現代日本を代表する日本画家・洋画家を収載した年鑑:現代日本の絵画 Vol.2でも三谷青子の作品をご鑑賞頂けます。
いつも明るくて笑顔を絶やさない、時に少女のような愛らしい一面を覗かせる三谷先生がとても印象的でした。先生のお人柄が作品にそのまま表れていて、だからこそ多くの人に愛されるのだと改めて実感しました。 「人生は楽しまなきゃね」とおっしゃる三谷先生。自分が楽しめなければ人をも楽しくさせることはできない、そんな当たり前なことを気付かせてくださいました。
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