何故スペインか
幼い頃から絵が好きだった私は、「ゴヤ、ベラスケス、ダリ、ミロ、ピカソ、そしてガウディもスペイン人か・・・」
と、あまりにも個性的な芸術家達を輩出するこの国の源とは一体何なのであろうかと興味を抱き、そしてようやく当地を訪れたのはフランコの没した翌1976年であった。以来その疑問を抱きつつ、スペイン一辺倒の旅を続けて来たが、未だその断片をも掴めぬまま現在に至ってしまっている。
出版するにあたり
今回出版の『スペイン祭り歳時記』と、2004年の『スペイン民家探訪』の2册の拙著は、多民族、他宗教の混在と争い、そして追放という歴史的背景が、生活環境、芸術文化、宗教観、心性面に何を残し、何を形成して来たのかを探り、見つめながら紹介してみたものである。
撮影取材の旅
今回出版の『スペイン祭り歳時記』を取材するにあたり、どの祭りも1度きりの一発勝負と決めたが、現地の情報を事前に入手するのに大変苦労があった。何時何分、どこで行われるのか、どの位置で撮ったら良いのかなどはもちろんのこと、夜間や閉鎖的な祭りは宿泊の場所まで決めなければならなかった。撮影時には苦労の連続であったが、ロス・エンパラオスでは、突然の取材にもかかわらず、自宅の玄関広間で密かに行われる苦行者の支度を撮影させてもらえたりと苦労をしながらも楽しい撮影取材の旅となった。
展覧会を通して
スペインの民家、祭りについて出版する運びとなったが、言語、写真、文章など全て独学であり、掘り下げて書いてはいるものの不安もあり、また今回の展覧会は写真展ということで、プロのカメラマンではないので心配もあったが、建築家ではない私の別の顔を見てもらえば幸いであり、今まで知られていないスペインの民家、祭りについて興味をもっていただければと思っています。
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