「現代日本の水墨vol.2」の出版記念展第一弾として、長谷川祥子さんの展覧会が開催 されております。墨の魅力に惹き付けられ、水墨画を描き始めて15年目になる 長谷川さん。海外でも幅広く活躍されている画家から伺った興味深いお話を皆様に お届けいたします。
プロフィール 新潟県生まれ。パリ国際サロン創立会員、スペイン国立プラド美術館財団会員 ヴェネチア国際芸術協会、ヌーベルルネッサンス、A.M.S.C等各認定作家。 受賞:(国内展)現水展新人賞、水墨画大賞展富山市長賞等。(海外展)トルコ芸術 教育賞、ソフィア国立海外芸術館賞等。収蔵:タイ国首相府、国立エルミタージュ 美術館
はじまりは墨を愛する気持から 「とにかく墨が好き」本当にこれだけではじめた水墨画なんですよ。墨の色合いも香りも私にはとても魅力に感じます。特に墨の香りを嗅ぐと精神が落ち着くのがわかりますよ。 あと、横山大観や長谷川等伯の作品で墨に魅せられましたね。ですが私は古来の水墨画を描こうとは思いませんでした。伝統的な水墨画とは一味違った現代は 現代の、時代の流れに合った水墨画があっていいと私は考えているのです。なので、私はどなたかの下で教わるということはなく、独学で水墨画を学びました。自分の感性を大事にして、自分の趣くままに描きたいのです。 周囲の水墨画のイメージ 今回の出品作品の大作以外はほとんど新作になります。水墨画は人によっては 「すぐ描けるでしょう」とおっしゃる方も多いのですが、描く時間や苦労は、 水墨でも油絵でも水彩でも変わりはないと思いますよ。ただ墨は、心の底から本当にその花が描きたいと思わないと使えません。下描きができないので、自分の中でイメージが固まっていないと、絶対筆は取れませんね。迷いがでると、すぐに絵に表れてしまいますから。そういう意味では水墨画を描くのは結構大変 なんですよ。 私は一枚の作品を仕上げるのに、構想は2ヶ月程かかり、描きはじめたら70%は 一日で仕上げるようにしています。その時は、早朝から深夜までずっと絵に 向かっていますね。 墨に対する感覚の違い 私は海外の展覧会に多く出品していますが、やはり日本の方と外国の方の反応 というか、感覚の違いを感じますね。水墨画は東洋の精神性の高い芸術であり、 西洋人を最も魅了すると言われ、海外展では水墨画の出品は珍しくなくなり ました。何が描かれているかということよりも、いかに描かれているかをモノクロームの絵の中に見て頂きたいと思っています。 花を描くこと 私は花の美しさに魅せられて描いていますが、実は昔、風景画や抽象画を描いていたこともありました。ですが、私は人々と感動を共有できるという点に おいては花をモチーフにしてよかったですね。花の絵はどんな人でも素直に美しさや可憐さといった「美」への想いが強いですから、そういう意味でも花を 描くのは魅力的です。 今回私はランの花を中心に展示していますが、一番好きな花は向日葵なんです。 向日葵を描いた作品が、ゴッホ美術館にゴッホの「ひまわり」と並んで展示される という夢を実は持っているんですよ。
花の美しさがモノクロームの世界で表現されている水墨画総計19点。その中から3点をピックアップしてご紹介いたします。作品一覧 魅せられて(8)\210,000-
この作品は皆様に好評で、20枚ぐらい同じ ものを描きました。左のぱっと開いている白い花があまりにも美しくてそれを描きたいが ためにできた作品です。
洋ラン \210,000- はっきりとしたコントラストで男性の方によく 好まれる作品ですね。他の作品と比べ、 シンプルですっきりしているのがいいみたいです。
魅せられてpart2 非売 この作品は東京のラン展に行った時、ランの ぶら下がり見て、自分に語りかけていると 感じて生まれた作品です。 この作品は画面だけでなく、余白及び正面の外に隠れている花の姿を想像してひたってほしいです。
現代日本の水墨 vol.2 \15,750(税込) 長谷川祥子さんの作品が掲載されている、ART BOX in Japanシリーズの「現代日本の水墨vol.2」卓越した技と美で創造を 続ける日本を代表する水墨画の作品集の最新刊です。
本当に墨を愛して、水墨画を描いている。先生にお話をお伺いして、それを強く 感じました。また、女性らしさを兼ね備えた先生の雰囲気と力強い大胆な作品のギャップがとても魅力的でした。 これからも日本と世界で輝かしくご活躍する先生を期待しております。
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